活用事例

3Dシミュレーションとの連成解析事例 - 車両の重力安定化

  • 2020/03/24
  • WATANABE Tomoo
3Dシミュレーションとの連成解析事例 - 車両の重力安定化

以前も、VPS(Virtual Performance Solution)との連成解析例についてこちらこちらを適用事例をご紹介しました。今回は別の事例をご覧いただこうと思います。

0D/1Dシミュレーションと比較して2D/3Dシミュレーションの問題として挙げられることが多いのは非常に計算時間がかかるという事です。以前と比較してマシンパワーが強力になったとは言え、それに応じてモデルの規模も増大化傾向にあります。昨今では如何に計算時間を短縮出来るかということも重要視されています。

2D/3DモデルはCADデータを基に作成される事が多いですが、図面上で表現されている形状と言いますか'状態'と、静止しているとは言っても重力下にある車両の状態は異なります。つまり、路面に置かれた状態の車両は重力の影響でタイヤやサスペンションは変形し、ボディにもひずみや応力が生じます。

そのため、特に走行シミュレーションを行う場合には、車両モデルを走行させる前に重力による安定化計算を行うことが必須となるわけですが、この過程というのは結果として'見たい'時間では無いため、極端な言い方としては'無駄な時間'になるわけです。さらに、タイヤやサスペンションはバネの様に静止するまでは意外と時間が掛かります。

そこで、この静止状態となるまでの計算時間を削減するため、重力によりある(事前に手計算でも求められる)位置まで変位した時点で動きを(一時的に)強制的に止めてあげることで、振動を最小限に抑え込むことが可能になります。

左下の制御ロジックは車両4輪(のサスペンション上端取付部)のどれかが静止位置に達した時点で節点移動を拘束(し、一定時間後に再リリース)するモデルです。これを組み込むことにより右下のグラフのように静止するまでの時間を凡そ1/5程度まで短縮することが出来ました。トップ画像を見ていただいても違いははっきりと見て取れます(右:制御なし, 左:制御あり)。場合によりこの部分を計算するだけでも数日の計算時間になる場合もありますので、その効果は十分に大きいものと言えます。

GStabilazation

この様にVPS(3D)モデルに対して、少しサポートをしてあげるだけでも大きな効果が得られるという事例をご紹介しました。

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