機能

賦形解析から含浸解析へのチェーニング機能

  • 2020/08/24
  • Takuya Shibata
賦形解析から含浸解析へのチェーニング機能

今月は、賦形解析から含浸解析へのチェーニング機能をご紹介いたします。

 

       図1図2

                   <図1 賦形後の繊維配向変化>           <図2 半球形状での含浸実験結果>

1のように、連続繊維を3次元立体形状に賦形するとき、繊維45°方向に対しては繊維が大きくせん断変形し、繊維配向角度が変化します。

この配向角変化が大きい箇所は繊維が集中しているため、浸透係数K値が低下することが一般的に知られています。つまり、繊維配向角変化が大きい箇所は、他の箇所と比較して樹脂流速が低下することとなります。

この現象を実験にて確認したものが図2となります。半球状に連続繊維を賦形し、中央から一点注入した際のフローフロントの傾向が確認できます。通常、樹脂は同心円状に広がることが予測されますが、実際においては部分的に含浸が遅れている箇所が確認でき、賦形による繊維配向変化が樹脂流速に影響を与えていることが分かります。

 

図3

<図3 含浸解析モデルへの賦形解析結果のマッピング>

弊社ソフトウェアPAM-COMPOSITESでは、上記にて説明した実現象を解析上で再現可能となっております。

同ソフトウェア内における賦形解析にて得られた繊維配向変化を、含浸解析モデルに反映することができます。この賦形解析と含浸解析では、メッシュ、ソルバーともに異なるものを使用するため、事前に実施された賦形解析の繊維配向結果を含浸解析へマッピングする機能を用いて結果を受け渡します。

図3は、含浸解析モデル上にマッピングしたせん断角度(Shear angle)と浸透係数(Permeability)の結果です。

 

図4

<図4 含浸解析における賦形考慮の影響>

 

<賦形考慮有りの含浸アニメーション>

図4が含浸解析結果となります。左が賦形による繊維配向の考慮なしの場合、右が繊維配向を考慮した場合の結果です。コンターマップは樹脂の到達時間を示しています。

含浸アニメーションでも分かるように、繊維配向を考慮した場合、実験結果(図2)と同様に繊維配向変化が大きい箇所にて樹脂含浸の遅れが見られます。

繊維配向計算が含浸計算へ与える影響度の大きさを確認できると思います。

 

以上が賦形解析から含浸解析へのチェーニング機能の概要説明となります。

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