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The 8th OpenFOAM User conference
- 2020/10/28
- 日本ESI
10月13日~15日の3日間でOpenFOAM User Conferenceが開催されました。
今年で8回目となりますが、コロナ禍の影響で、Online での開催となりました。
今回のブログでは、このThe 8th OpenFOAM User Conferenceの様子をご紹介します。
カンファレンスは5つの基調講演と約50のユーザープレゼン、Technical Committeesのチェアマンによるパネルディスカッションがあり、ボリュームのある内容となっていました。
非常に簡単ですが、以下、トピック毎に紹介したいと思います。
【OpenFOAM Governanceの状況】
現在、OpenFOAMはGovernance (https://www.openfoam.com/governance/)により継続されています。
このGovernanceにはOpenFOAMの方向性を決めていくSteering committee (https://www.openfoam.com/governance/steering-committee.php)
とそれぞれの技術テーマを持つTechnical Committees(https://www.openfoam.com/governance/technical-committees.php)が存在します。
1日目と2日目にそれぞれ、Technical Committeesのメンバーによる、活動紹介を兼ねたパネルディスカッションがありました。
個人的な印象ですが、High Performance Computing (HPC)とMultiphaseのCommitteeの活動が活発である印象を受けました。
さらに、新しく立ち上がった、Nuclear Applications Committeeのチェアマンから活動内容の紹介があました。
また、各Technical Committees も随時メンバーを募集しています。
【Technical Committeesの新しい試み:OpenFOAM Journal】
また、Documentation Committeeから、さらに新しい活動として、OpenFOAM Journal (https://journal.openfoam.com/index.php/ofj)の紹介もありました。
OpenFOAMに関連した研究成果を公開していくためのものです。
年1回で発行していく予定とのことです。
どなたでも登録出来ますので、ご興味のある方はぜひご登録お願いします。
【オーラルセッション、基調講演、ユーザープレゼン】
いくつか、気になったものを紹介します。
OpenFOAMの開発/リリースの責任者である、Andrew Heatherより、今後の開発について紹介がありました。
皆様ご存じの様に、世の中にはオープン化されたモジュールが多々あります。OpenFOAMもこれらのモジュールを上手くリンクしていくこと考えているとのことです。
例えば、PETScやOpenQBMM等はすでに、OpenFOAMにリンクしています。
(https://www.openfoam.com/releases/openfoam-v2006/numerics.php)
今年末リリースのOpenFOAM v2012に関しては、下記のキーワードにそった簡単な説明で紹介されました。
- Finite area surface film
- Implicit AMI
- Acoustics
- Meshing thin gaps
- Application coupling
- DSMC
- ACMI patch functio1 – manipulate weights externally
基調講演では、NAFEMS (https://www.nafems.org/)からV&V (verification and validation)についての講演があり下記のような説明がされて、V&Vの手法(考え方)について紹介されていました。
Validation:モデルの使用目的の観点から、モデルが実世界の正確な表現である程度を決定するプロセス
Verification:計算モデルが基礎となる数学モデルとその解を正確に表していることを確認するプロセス。
検証は物理学の領域であり、検証は数学の領域です。 検証は正しい方程式を解くことであり、検証は方程式を正しく解くことです。
また、元Fluentの開発者で現在ESI-groupのCFD Chief ArchitectであるSanjay Mathurによる基調講演もありました。
彼は、Fluentの初期から開発者として携わっており、CFDコードを開発して行く上で考慮すべき事について、経験を交えた内容の話でした。
以下、簡単ですが、プレゼンターであるSanjayの言葉を纏めてみます。
- CFDソルバー(Fluentのこと)の開発には、新しく追加する多様な物理モデル、境界条件を安定的に連携し、安定した計算手法(線形ソルバー)を取りいれ、さらに多数のハードウエア(OS)に対応していくことであった。
- 例えば、Fluentは最初500行程度のコードであったが、現在は10,000行に達している。
- 今後20年は、GPU化が進みことでまた新たなハードへ対応していくことが同様に起こりえるし、機械学習とのハイブリッド手法、量子コンピュータへの対応など新たなチャレンジが必要になってくるであろう
ユーザープレゼンは、例年通りの独自のカスタマイズ事例や、実際の適応事例、弊社VPSと連成したFSIの事例、さらに、HPCに関するものから、機械学習のオープンプラットフォームであるPyTorch(https://pytorch.org/)との連携の試みなど、多種多様なものでした。
PyTorchとの連携についてのプレゼンターのGitHubのリンクを記載します。(https://andreweiner.github.io/reveal.js/of_conf_2020.html#/7)
ご興味のある方はコンタクトしてみてください。
プレゼン資料の配布は不可ですが、下記にThe 8th OpenFOAM User Conferenceのプログラムのリンクです。
開いたPDFの各プレゼンの横のメモマークをクリックすると、概要が確認できます。
https://www.esi-group.com/sites/default/files/resource/other/1825/Agenda_OpenFOAM_2020_14.pdf
【最後に】
来年2021年は10月19日⁻21日にドイツベルリンでの開催を予定です。
コロナが落ちつき、2021年は例年通り開催されることを願っております。