鋭いビームと走査の自由度からレーダーや5G通信の分野でも注目されているアレーアンテナですが、多数のアンテナ素子から構成される大規模なアレーアンテナ特性を解析する場合、そのままアレー全体をモデル化して計算すると計算負荷(時間、メモリ使用量)が膨大となり、解析検討に時間を要します。CEM Oneのモーメント法ソルバーではMBF(Macro Basis Function)機能を採用する事により、大規模周期構造アレーアンテナの計算負荷を数倍~数十倍削減する事が可能です。
尚、本機能は2018年5月のSwedish Microwave daysにて講演されています。「 Fast Analysis of Large Finite Electrically Interconnected Antenna Arrays using CEM One」
本記事ではMBF機能の概要を紹介します。
MBFによるアレーアンテナ解析手順
- 単位アンテナ素子の解析
- 3x3アレーモデルを使った行列分解(特異値分解)によるMBF算出
- 大規模アレー構成の設定(MBFの配置)
3x3で計算されたMBFを大規模アレーモデルへ配置します。
(コーナー、端部、内部素子など)
- 全体計算
素子間の位相と振幅変化の設定(複数設定可)
- 位相変化:Const、Linear(kd or kd+2.94/N<Hansen-Woodyard phase variation>)
- 振幅変化:Const、Taylor(サイドローブピークレベル設定:dB)
- 結果出力
S行列、遠方界、近傍界、表面電流など
3D指向性とその時の表面電流分布
(このサンプルではビーム角度が大きくなるとグレーティングローブが発生しています)
MBFによる計算負荷削減効果例
下記に通常のモーメント法とMBF機能を使用した場合で計算負荷を比較した例を示します。
AESA(アクティブ電子走査アレー)レーダーへの適用事例
スウェーデンのSaaB Group様の軍需用レーダー解析事例です。
ブロードサイドからエンドファイアまで対応可能です。