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機能

積層塗膜のモデル化機能

  • 2022/03/16
  • TSUCHIYA Toru
積層塗膜のモデル化機能

電気・電子機器アンテナの筐体や自動車のミリ波レーダーを覆っている樹脂バンパーカバーなど電波放射源近傍にある樹脂筐体の塗装が放射に与える影響を評価する場合に塗膜を簡易的にモデル化する機能としてCEM One FDTDソルバーの「樹脂塗膜のモデル化機能」を紹介しましたが、この機能が複数層対応へと機能拡張され積層塗膜機能として実際の複雑な塗装構造を考慮したシミュレーションが行えるようになりました。

自動車の樹脂バンパー塗装はプライマ層、ベース層、クリア層を基本とした積層構造で構成され、かつ車種やカラーリング、仕向け地ごとにより多くの積層塗膜塗装が施されています。これらの塗膜はそれぞれ異なる材料が使用されており、各塗膜層の厚さや物性値が異なるためその構成によってミリ波レーダーの電波挙動に対する影響が変化します。

ADAS(先進運転支援システム)の高精度化やAD(自動運転)技術の進展によって、ミリ波レーダーシミュレーションにおいてもより精度の高い検証が求められており、本機能によって積層塗装の影響まで忠実に再現する事によって実物に近い状態でミリ波レーダーシステムの検証を行う事が可能となります。
また、ミリ波レーダー以外でもスマートフォンなど電磁波を使用した電子機器におけるアンテナの筐体内配置検討だけでなく、塗装や加飾フィルムなどの影響も評価する事が出来ます。

本記事では積層塗膜モデル化機能「Multi-layered Thin Sheet」について紹介します。

積層塗膜モデル化機能「Multi-layered Thin Sheet」


  • 機能概要
     樹脂面に薄い積層塗膜をモデル化する機能
     (数十層まで対応)
  • 設定パラメーター
     塗膜積層数、各塗膜の厚さ及び物性値(比誘電率、導電率、比透磁率、導磁率)

Multi-layered Thin Sheet機能の利点


本機能は「樹脂塗膜のモデル化機能」記事で紹介した一層塗膜機能の利点に加え下記のメリットがあります。

  • 実際の塗装構造を考慮した評価
    自動車の塗装のように複数の塗膜から構成される塗装構造を再現する事により、精度の高い電波挙動の評価が可能

Multi-layered Thin Sheet機能検証


厚さ3mmの樹脂板に垂直偏波(Ez)の平面波を照射し、樹脂板後方の観測点における電界値を観測。塗膜のメッシュを作成したSolidモデルとMulti-layered Thin Sheet機能を適用したモデルで電界値を比較しました。

thinsheet_model

 SolidモデルとMulti-layered Thinsheetモデルの比較
 Solidモデルでは各塗膜(Layer)を陽的にモデル化
multilayer-thinsheet_model

解析結果比較

観測点における周波数領域の電界値(Ez)比較

 Free Space:自由空間(Resin, Layer無し)
 No painting:Resinのみ(Layer無し)
 1 Layer:Resin + Layer1
 2 Layers:Resin + Layer1 + Layer2
 3 Layers:Resin + Layer1 + Layer2 + Layer3

multilayer-thinsheet_graph

 

電波放射に対する塗装の影響評価例


  • 自動車の77GHzミリ波レーダー
    樹脂バンパー塗装の影響(塗膜3層)

    multilayer-thinsheet_vehicleRAD3D

  • 28GHzスマートフォン
    アンテナ近傍樹脂塗装の影響(塗膜2層)

    multilayer-thinsheet_smartphoneRAD3D

上記事例は塗装構造(塗膜の積層数、各塗膜の厚さ及び物性値)によって影響は異なります。

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