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ProCASTの熱応力解析モデル(1) 応力変形への温度の影響

  • 2021/01/18
  • Akihiro Ito
応力変形への温度の影響

これまでProCASTによる熱応力解析事例についていくつか紹介してきましたが,ここで熱応力解析の内容について具体的にご説明させていただきます.

一般的に行われている弾性体の構造解析は外力と変位または応力とひずみの関係であるフックの法則で表され,応力σとひずみεの関係式はヤング率Eを用いて以下の式で表されます.

 σ=Eε

一般に製品として使用されている状況を想定した材料の剛性,強度などを評価する場合は室温のヤング率を用いて計算することで応力に対するひずみ,あるいは外力に対する変位を求めることができます.

しかし鋳造プロセスでは凝固して冷却される過程で高温から室温まで温度変化することになります.一般的には温度が高いと材料は柔らかくなり,同じ外力を与えても室温に比べて伸びやすくなります.これは下図に示しましたようにヤング率Eが高温になると小さくなる(図の傾きが小さくなる),つまり上記の式の左辺の応力値が同じでも,Eが小さいのでひずみが大きくなる,ということになります.

LinearElastic

下図はProCASTでご提供しています化学成分から材料データを計算する熱力学材料データベースにより計算したAC4Cのヤング率の温度依存性を示したグラフです.このように室温では73GPaほどのヤング率ですが,温度上昇に伴って低下し,400℃では室温の1/2程度になっていることから,この温度では製品が室温よりも倍のひずみ,伸びが生じることになります.

Youngs_Modulus_AC4C

まずは熱応力解析の基本的な考え方として,フックの法則に温度依存性を考慮することで計算を行っていることをご紹介しました.

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