活用事例

Xcos適用事例(1)

  • 2020/08/27
  • WATANABE Tomoo
Xcos適用事例(1)

 以前のScilab適用事例に続き、Xcosの適用事例をご紹介します。XcosはScilabに実装されているモジュールの一つで、トップ画像左の様に複数のブロックを接続していくことで順に演算が行われていくグラフィカルな数学的モデリングとハイブリッド力学系シミュレーションツールです。

 ここでは1質点振動系の力学モデルを運動方程式を基にモデル化した事例をご紹介しますが、まずはモデルを構築するためにモデルのイメージと必要な運動方程式を確認しましょう。

 下に示す図がSimulationXで作成した同等モデルで、この中で成立している式が右側になります。

 この運動方程式を計算する順にブロックを接続していくことでモデルが作成できます。トップ画像のモデル化では(どこからスタートしても良いのですが)加速度をスタートとして、これを積分('1/s'のブロック)すれば速度が、もう一回積分すれば変位が計算出来ます。ここで速度及び変位の値がそれぞれ上下に線が伸びていますが、これらにバネ剛性や減衰定数を掛け、重力相当と足し(引き)合わせたもの('∑’のブロック、左に+,-の記号が付いていることに注意)を質量で除して('1/m'のブロック)あげれば加速度を求めることが出来ます。一番右にある青いのはグラフを描画するためのブロックでここに入力される値(この場合は変位)が右の画像のように変位の時刻歴として出力されます。同様に速度や加速度を計算しているブロックからここに接続すれば、それらの時刻歴が描画出来ます。

 この様に変数となるものを演算するブロックを通じて順に計算させていくというモデル作成方法がXcosであり、少々理解するにはコツは要りますが順を追っていくことにより視覚的に何をしているのかがわかりやすいのでは無いでしょうか。もちろんもっと複雑な計算を行うブロックも用意されていますので、様々な事象をモデル化することが可能です。

 Xcosを含めたScilab/Xcos基本操作のトレーニングを実施していますので、ご興味を持たれましたらお問い合わせください。